あらすじ

第2幕

羊飼いのダーオスはある日、捨てられていた赤子を拾ったが、知り合いの炭焼き・シュロスに懇願され、その子を譲る。
しかし後日、赤子と一緒に捨てられていた指輪などの所有をめぐって争いになり、
そこで出会った市民のスミークリネースに仲裁を任せ(epitrepein)る。
奴隷身分にもかかわらず、市民顔負けの弁舌でスミークリネースを納得させ、晴れて指輪の持ち主となるシュロス。
ところが指輪を改めていた彼を、奴隷のオネーシモスが見咎め、指輪を取り上げる。
オネーシモスによると、指輪は彼の主人カリシオスのものだという。
スミークリネースを説得したことに味をしめたのか、シュロスは今回も誰かに仲裁してもらおうと提案する。
オネーシモスの主人カリシオスはちょうどシュロスの主人の屋敷に滞在しており、
二人がその屋敷に入っていくところで第3幕に続く。
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第3幕

シュロスから主人の指輪を取り戻したオネーシモスだが、
指輪が赤子と一緒に捨てられていたというシュロスの説明が気にかかる。
これが事実ならその子は指輪の本来の持ち主である主人カリシオスが外で儲けた子ということになる。
折悪くカリシオスの新妻パンピレーが密かに子を産んで捨てたことが発覚したばかりであり、
このうえカリシオスの不義が明らかになれば夫婦が破局を迎えることは目に見えているし、
指輪のことを知らせた自分も無事で済むかわからない。
うかつに主人に指輪を返すこともかなわず、さらにシュロスからも指輪を返せと迫られて進退窮まるオネーシモス。
詰め寄るシュロスに事情を説明する途中、カリシオスが指輪をなくしたのは前年のタウロポリア祭でのことだと述べる。
シュロスが所用で一旦去った後、先の話に思い当たるところのあった遊女のハブロトノンがオネーシモスに声をかける。
自分も祭に夜通し参加していたが、一緒にいた乙女の一人が男に襲われる事件があったというのだ。
これに驚き、早速襲われた娘は誰か調べようというオネーシモス。
だが、そもそもハブロトノンが見た男は本当にカリシオスだったのか。
これを確かめるため彼女は一計を案じ、実行に移すべくカリシオスのもとへ。
残されたオネーシモスはその機転に感心しつつ自らの不甲斐なさを嘆くが、
そこへ第2幕に登場したスミークリネースがやってくる。
パンピレーの父親である彼は、娘夫婦のトラブルに業を煮やしており、友人邸で宴会にうつつを抜かす
(ハブロトノンもそのために呼ばれた遊女)
カリシオスのもとに怒鳴りこんでくるところだった。
もう面倒には関わるまいとオネーシモスが立ち去るところでテクストは散逸している。

【補足】祭で乙女を襲った犯人はやはりカリシオスであった。
現代では決して許される行為ではないが、当時のギリシアではよくあることだった
(あるいはそう考えられていた)ようで、作中で特に制裁がなされることはない。
結末部もまた残っていないが、物語はハッピーエンドを迎えると考えられている。
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